探偵調査がどのような方法で行われているのかは、多くの方にとって謎に包まれた部分かもしれません。映画やドラマの影響で、違法すれすれの手法が使われているのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。
しかし、現代の探偵業は探偵業法をはじめとする様々な法律によって厳格に規制されており、すべて適法な範囲で調査が行われています。
ここでは、実際に探偵がどのような手法を用いて調査を行っているのか、その具体的な方法と法的な制約について詳しく解説いたします。
1. 尾行調査
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尾行調査とは 尾行調査は、対象者の後を追跡して行動を観察する調査手法です。浮気調査では最も重要な調査方法の一つで、対象者がどこに向かい、誰と会っているのかを確認するために行われます。
対象者の自宅や勤務先から調査を開始し、徒歩、自転車、車両など様々な移動手段を駆使して追跡を行います。この際、最も重要なのは対象者に気づかれないよう適切な距離を保つことです。経験豊富な調査員は、人混みの中でも見失うことなく、かつ相手に察知されることなく尾行を継続する技術を身につけています。
複数の調査員でチームを組むことも多く、一人が見失った場合でも他の調査員がカバーできる体制を整えています。また、長時間の尾行では調査員が交代することで、同じ人物が長時間付きまとっているという不自然さを避けることができます。
法的な制約についても厳格に守られており、尾行は公共の場所でのみ実施され、住居侵入や不法侵入などの違法行為は一切行いません。対象者のプライバシーを尊重し、必要最小限の範囲で実施されることが大前提となっています。
2. 張り込み調査
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張り込み調査の特徴 張り込み調査は、特定の場所に身を潜めて対象者の行動を継続的に観察する調査手法です。対象者の行動パターンを把握したり、特定の人物との接触を確認したりする際に用いられます。
この調査は対象者の自宅周辺、職場や学校での素行確認、ホテルや飲食店での密会確認など、様々な場面で実施されます。特に浮気調査においては、対象者が決まった時間に特定の場所を訪れる可能性が高い場合に、その場所で張り込みを行うことで決定的な証拠を得ることができます。
張り込み調査には高度な忍耐力と集中力が必要です。時には数時間から一日中、同じ場所で待機することもあります。調査員は望遠レンズ付きカメラや双眼鏡など、遠距離からでも鮮明に観察できる機材を使用し、対象者の行動を詳細に記録します。また、周囲の環境に溶け込むための服装や、長時間の待機に耐えるための体力的な準備も重要な要素となります。
3. 聞き込み調査
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聞き込み調査の実施方法 聞き込み調査は、対象者の周辺人物から情報を収集し、行動パターンや交友関係を把握する調査手法です。ただし、プライバシーの保護と調査対象者への配慮を最優先に実施されます。
この調査では、近隣住民、勤務先の関係者、共通の知人・友人、サービス業従事者など、対象者と何らかの接点を持つ人々から情報を収集します。重要なのは、調査の目的を明かすことなく、自然な会話の中で必要な情報を得ることです。
熟練した調査員は、相手に警戒心を抱かせることなく、日常的な会話の延長として情報を引き出す技術を持っています。例えば、近所の住民との世間話の中で「最近あの方をよく見かけませんね」といった形で、さりげなく対象者の行動について情報を得ることがあります。ただし、相手方に不快感を与えたり、プライバシーを侵害したりしないよう細心の注意を払い、倫理的な配慮を欠かすことはありません。
4. データ調査・資料調査
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公開情報を活用した調査 データ調査は、インターネット上の公開情報、官公庁の公開データ、商業データベースなどを活用して、対象者に関する基本情報を収集する手法です。現代では、想像以上に多くの情報が公開されており、これらを適切に組み合わせることで対象者の詳細な情報を得ることが可能です。
調査可能な情報には以下のようなものがあります:
- 住民票の写し(正当な理由がある場合)
- 不動産登記簿謄本
- 商業登記簿謄本
- SNSなどの公開情報
- 新聞・雑誌などの報道記録
特にSNSの普及により、多くの人が自分の行動や交友関係を公開しているため、これらの情報から対象者の生活パターンや人間関係を把握することができます。ただし、個人情報保護法や各種データ保護法を厳格に遵守し、違法な手段での情報取得は一切行いません。取得できる情報は法律で定められた範囲内に限定され、調査員は常に法的な境界線を意識して作業を進めています。
5. 証拠撮影
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決定的証拠としての撮影技術 証拠撮影は、浮気調査において写真や動画による証拠を収集する最も重要な調査手法です。法的な効力を持つ証拠として、裁判や慰謝料請求の際に決定的な役割を果たします。
現代の探偵事務所では、高性能デジタルカメラ、最大800mm程度の望遠レンズ、暗視カメラ・赤外線カメラ、小型ビデオカメラ、ドライブレコーダーなど、様々な機材を駆使して撮影を行います。特に浮気の現場では、対象者とその相手が密接な関係にあることを明確に示す映像が必要となるため、表情や行動が鮮明に記録できる高画質での撮影が不可欠です。
撮影時には法的配慮も重要で、公共の場所からのみ撮影を行い、住居侵入や盗撮などの違法行為は一切行いません。また、撮影した画像・動画は厳重に管理され、依頼者以外には開示されることはありません。プライバシーの保護と証拠能力の確保という、一見相反する要求を両立させるのが、プロの探偵の技術なのです。
6. GPS調査
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GPS調査の現状と法的制約 GPS追跡装置を使用した調査は、技術的には非常に有効な手段ですが、現在では法的な制約が非常に厳しくなっています。他人の所有物へのGPS設置は違法行為となる可能性があり、プライバシー権の侵害や刑法の器物損壊罪に問われるリスクがあります。
GPS調査を適法に実施するためには、車両の所有者が夫婦の場合における配偶者の同意、法的に正当な理由の存在、事前の十分な法的検討などの厳格な条件が必要です。これらの条件を満たさない場合、調査そのものが違法行為となり、得られた証拠も法的に無効となる可能性があります。
そのため、現在多くの探偵事務所では、GPS調査のリスクを考慮し、より安全で確実な他の手法を推奨しています。適法性に疑問がある手法よりも、確実に法的効力を持つ証拠を得ることができる従来の調査手法の方が、依頼者にとってもより有益であると考えられています。