浮気調査における尾行や張り込みは、確実な証拠を得るための有効な手段ですが、その実施は非常に難度が高いといえます。プロの探偵や興信所に調査を依頼するのが一般的です。
しかしこれには少なからず費用がかかります。少しでも調査を安くするために、尾行を自分で行いたいという方は多いかと思います。
浮気調査における「尾行」を自分で行うことは可能でしょうか?本記事では、自分で行う浮気調査の尾行に関する実用的なアドバイスや注意点についてお話いたします。
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Contents
自分で尾行するのはおすすめできない?その理由を解説

「パートナーが浮気しているかどうか、自分自身の目で確かめたい」という感情は非常に自然なものです。また、探偵に依頼するとなると少なからずお金がかかるもの、できる限り自分で浮気調査を行いたいという方は多いのではないでしょうか。
しかし、素人が自分でパートナーを尾行して、浮気調査を行うことには多くの問題が伴います。以下に、自分で尾行することが推奨されない主な理由をまとめました。
素人の尾行は気づかれやすい
テレビドラマや映画には、よく浮気している旦那や妻を尾行する…といったシーンがよくあります。ですが、それはあくまでもフィクションであり、実際には高いリスクを伴います。なぜなら尾行は、探偵業における専門スキルの一つだからです。一見簡単に思えるかもしれませんが、さまざまなテクニックが要求されます。
訓練を受けていない人が尾行を行うと、パートナーに気付かれるリスクがあるだけでなく、対象を見失う可能性もあります。そのため、浮気調査に失敗しないためにも、自分での尾行は避けることを推奨します。専門の探偵に依頼することで、より確実かつ効果的な調査結果を期待できます。
以降の浮気調査が困難になる場合がある
尾行がパートナーにバレてしまうと、警戒心を与えてしまいます。そして尾行されていないか周囲をうかがいながら行動するようになります。これも素人の尾行によるリスクの一つです。
一度警戒心を与えてしまうと、以降の尾行などの浮気調査が困難になります。浮気の証拠を掴むために調査を行っているはずが、そうなってしまうと本末転倒です。また警戒心の高い対象者の尾行はプロの探偵でも時間がかかる場合もあり、通常よりお金がかかってしまうこともあります。
違法行為になる可能性がある
自分で浮気調査を行う際には、法律的な側面を考慮する必要があります。なぜなら浮気調査における調査内容の中には、気をつけなければ違法行為にあたるような行動が含まれているからです。法律的な知識が不足していると、知らず知らずのうちに法を犯してしまうリスクがあります。
例えば、配偶者やその不倫相手を尾行する過程で、もし相手の家の敷地内に足を踏み入れてしまった場合、これは「住居侵入罪」に該当する可能性があります。さらに、尾行行為が「不審者」として通報されるケースも少なくありません。
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浮気調査において自分で尾行できるケース

以上のように、浮気調査において自分で尾行を行うのは基本的にあまりおすすめできません。しかし、自分で行っても問題ないようなケースもあります。ここからは、自分で尾行してもうまくいくケースを紹介いたします。
相手の行動が予測できる場合
自分で尾行や張り込みができるケースの一つが、パートナーが浮気をしているであろう具体的な日時や行動パターンを特定できる場合です。浮気調査は非常に時間がかかりますが、行動の予測が立てられるのであれば最低限の時間、範囲に絞って調査できるので、負担が軽減されます。
デートの場所や時間の予測は、過去のデートのパターンや好んで訪れるスポットから導き出せます。例えば、「自分が夜勤で不在の時にパートナーがデートをしている」や、「特定のホテルを頻繁に利用している」などの情報が有用です。
時間に余裕がある場合
上記とは反対に浮気相手とパートナーの行動時間や範囲が不明な場合でも、時間をある程度自由に使えるのであれば問題ないでしょう。長時間の尾行や張り込みがもし可能なのであれば、それに越したことはありません。
というのも、浮気調査には多くの時間を要するケースがあるためです。例えばラブホテルの前で張り込みをする場合、いつ頃ホテルから出てくるのかわからないことも少なくありません。もし後に別の予定があるのであれば、尾行は困難だといえます。このような不確実性があるため、尾行は時間的な制約が少ない状況でのみ適切と言えるでしょう。
協力者がいる場合
浮気調査を探偵や調査員が行う場合、1人だけでなく複数名で対応することが頻繁にあります。なぜなら、複数名で調査した方が尾行がバレにくく、交代制にすれば長時間の尾行や張り込みが可能になるからです。浮気調査に協力してくれる人がいるのであれば、一人で行うよりは成功率は上がります。
とはいえ、これはハードルが高いといえます。というのも、尾行の伴う浮気調査は長時間を要するからです。浮気調査に協力的だからといって、1日以上かかる調査に付き合わせるのは難しいでしょう。
自分で浮気調査する際に参考にすべき「探偵の尾行テクニック」

尾行の伴う浮気調査は基本的に探偵事務所に依頼するのがおすすめです。もし自分で調査を行うのであれば、相手が確実に浮気をしているであろうタイミングや、時間に余裕がある時に、複数名で行うことをおすすめします。
自分で尾行を行う際には、バレないようにこっそりと行う必要があります。ここが最も困難であり、テクニックを必要とする部分です。参考までに、探偵の尾行テクニックを「徒歩で行う場合」と「車で行う場合」の2つに分けて、それぞれご紹介いたします。
徒歩での尾行テクニック
浮気調査における尾行は、徒歩で行う場合があります。
徒歩で尾行する際、探偵が意識しているのは以下のようなことです。
相手との距離感
尾行の際、最も重要なのは適切な距離感を保つことです。目標は対象者に気付かれずに追跡を続けることであり、周囲の環境によって適切な距離が変わります。
例えば、人通りが多い場所では、対象を見失わないように注意深く距離を調節する必要があります。適度な距離を保ちつつも、他の人々に混じって対象を見逃さないようにすることが肝心です。歩くスピードの調整はもとより、空間把握能力も必要になります。
一方で住宅街は人通りが少ないため、対象者に気付かれるリスクが高まります。近づきすぎは厳禁です。このような環境では、可能な限り適切な距離を保ち、建物や車などの遮蔽物を利用して慎重に尾行する必要があります。
行動パターンの把握
尾行において欠かせないのが、相手の行動をパターン化して予想する能力です。例えば「信号待ちの際に周囲を見回したり振り返ったりする」「人通りが少ない場所では歩くスピードが早くなる」などの、行動のパターンを読みましょう。
対象者の特定の癖を事前に把握しておくことで、尾行中に目が合ってしまう、必要以上に近づいてしまうなどのリスクを軽減できます。中でも特に重要なのは視線を追うことです。
振り返りがちなタイミングなど、視線の動きを頭に入れた上で、対象者の直接的な視界に入らない位置で尾行します。これは、対象者の予期せぬ行動に対する備えとなり、尾行の成功率を高めるための重要な戦略です。
変装などのバレない工夫
尾行や張り込みの際には、自分の外見をさりげなく変化させることが効果的です。リバーシブルのジャケットの着用、眼鏡や帽子の着脱、髪型の変更など、小さな変化でも印象を大きく変えることができます。ただし、派手な柄や目立つような色の服装は避けるべきです。
また、尾行時の行動も重要です。例えば対象者がいきなり振り返った際、尾行に慣れていない人はついつい慌ててしまいがちですが、焦って挙動不審になるのはNGです。急いで物陰に隠れたり、逃げ出したりすると尾行を疑われる原因になります。
張り込み中に警察官に職務質問される場合もありますが、これにも落ち着いて対応するようにしましょう。全体として、尾行や張り込みを行う際は、周囲の状況に溶け込むような自然な行動を心がけることが不可欠です。これにより、尾行の目的を達成しやすくなります。
相手から距離を離されないための工夫
徒歩での尾行中、対象者が急に電車やバスなどの交通機関を利用する場合があります。このような状況に迅速に対応するため、SUICAなどの交通系ICカードを常備しておくことが重要です。追跡中に残金不足にならないよう、あらかじめ十分な金額をチャージしておくようにしましょう。
他方、人通りの少ない道での尾行ではバレてしまうリスクが高まります。適切な距離を保つためには、自転車の使用が有効です。自転車を利用すれば、必要に応じて迅速に距離を詰めたり、遠くからでも尾行を続けることができ、対象を見失うリスクを軽減できます。
これらの対策を講じることで、尾行中に対象者から距離を離されてしまうのを防ぐことができます。
車での尾行テクニック
浮気調査における尾行は、車両で行う場合があります。
車で尾行する際、探偵が意識しているのは以下のようなことです。
車選びに関して
尾行時に使用する車種は、注意深く選ぶ必要があります。目立つ色やデザインの特徴的な外車は避け、目立たない一般的な車を選ぶことが重要です。探偵の間では、白や黒などモノトーンの車を使用することが多いです。
また、車のサイズも考慮する必要があります。小型の軽自動車よりも、ミニバン、セダン、ワンボックスカーなどが尾行には適しています。なぜなら、一般的な交通の流れに溶け込みやすく、目立ちにくいからです。
尾行に適した車種を選ぶことは、尾行の成功に大きく寄与します。車の選択には慎重に行い、対象者に気づかれるリスクを最小限に抑えましょう。
相手との距離感
徒歩の場合と同様に、車を使用した尾行でも対象人物の視界に入らないことが重要です。ただし、車両を利用する場合は、バックミラーやサイドミラーを通じて背後を確認できるため、視認される可能性が高まります。対象を見失うことを恐れて過度に接近するのは避け、対象者に気付かれないように意識しましょう。
相手の車のバックミラーやサイドミラーの死角に位置することを意識するとより効果的です。実際にご自身の車でこれらの死角を確認しておくと、尾行時のポジショニングの参考になります。このような注意点を守ることで、車両を使った尾行はより効果的かつ安全に行うことができます。
駐車するタイミングと注意点
車を停止するタイミングにも気を払いましょう。対象者が車を停めると同時にこちらの車を停めると、流石に怪しまれてしまいます。
不審に思われることがないよう対象者から距離をとり、駐車するタイミングをずらすなど工夫をしましょう。
また、車で張り込みを行う際にも注意が必要です。不自然な場所に車を停めて張り込みを行うと、対象者に見つかる可能性があります。また警察に職務質問されるリスクや、近隣住民から通報される可能性も鑑みて、邪魔にならない場所に駐車するよう心がけましょう。
二人体制
車で尾行する際には二人体制がおすすめです。一方は車を降りて張り込みを行い、もう一方はパーキングエリアにていつでも車を動かせるように待機する、というような連携が取れるからです。
また二人で尾行を行うことには、定期的に運転手を交代できるというメリットもあります。同一の車両で追跡していると、勘の良い対象者であれば尾行に気づくことがあります。運転手を交代するだけで、不審感を抱かせるリスクを減らすことができます。
簡単な変装
また運転手が交代する際には、簡単な変装を施すことも有効です。変装によって運転手の外見を変えることで、尾行がバレにくくなり、より効果的な追跡を行うことが可能になります。
変装は派手でなくとも十分であり、小さな変化でも対象者に与える印象は大きく変わります。このように、尾行時の運転手交代と変装は、成功への鍵となり得る戦略です。
自分で尾行する際のリスクと注意点

ここまで、探偵の尾行テクニックの中でも、比較的真似しやすいものを中心に紹介してきました。とはいえ素人が行う浮気調査にはリスクがつきまといます。基本的にはあまり、おすすめはできません。もしどうしてもパートナーを尾行したい場合には、以下のリスクと注意点を踏まえて行動しましょう。
浮気調査で尾行することの法的リスク
まずは「相手を尾行する」という行為そのものに、法的なリスクがあることを理解しましょう。婚姻関係にあるパートナーしても違法行為にあたりませんが、特定の条件下においては法的な問題が生じる可能性があります。
例えば、パートナーやその浮気相手から「つきまとわれている」と警察に通報されると、警告や禁止命令の対象になる可能性があります。それでも繰り返し尾行を行えば、ストーカー規制法に基づく「つきまとい行為」の対象となり、書類送検されることもあります。
ストーカー規制による罰金
2021年の法改正により、ストーカー規制法の適用範囲は、相手の自宅や職場、学校などの通常の滞在場所に加え、たまたま立ち寄ったお店やレストラン、公園、旅行先のホテルなど、現在いる場所付近も含まれるようになりました。書類送検後に起訴され、有罪判決を受けると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
迷惑防止条例に違反する可能性
また、悪意を持って尾行を繰り返した場合には、ストーカー規制法が適応されなくても、都道府県の迷惑防止条例に違反することがあります。東京都の場合、この違反には6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。このため、尾行を行う際には、これらの法的側面に十分注意する必要があります。
不法侵入の可能性
また、浮気相手の住所を特定しようとして尾行し、その敷地内に無断で入った場合は、刑法第130条の「住居侵入罪」に問われることがあります。これには3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることがあります。「住居」には庭やベランダ、集合住宅の共用部分も含まれます。
浮気調査でGPSを利用するリスク
浮気調査で相手を尾行する際には、GPSが非常に重宝します。例えばGPSトラッキングデバイスをパートナーの車に設置して位置情報を捕捉する、などの用途で使用されます。
GPSを使用した浮気調査に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。

浮気調査において非常に便利なGPSですが、法的な側面に注意が必要です。
法的なリスクに注意
車が夫婦共有の財産である場合は、GPSを取り付けることに何ら問題はありません。しかし配偶者個人の所有物である場合は要注意。例えばGPSの取り付けにより車に傷がついた場合、刑法261条の「器物損壊罪」に問われるリスクがあります。この罪に対する刑罰は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金と定められています。
ストーカー規制法の規制対象になる可能性
2021年のストーカー規制法改正により、「位置情報の無承諾取得」も規制対象に追加されました。そのため、相手の承諾なしにGPSなどにより位置情報を取得する行為は、違法とみなされる可能性があります。この違反には、ストーカー規制法第18条に基づき1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることがあります。
プライバシー侵害のリスク
さらに、相手の私有物に勝手にGPSを設置する行為は、民法上の「プライバシーの侵害」として扱われる可能性があります。その場合、損害賠償を請求されるリスクも考えられます。したがって、GPSトラッキングデバイスの使用は慎重に検討し、法的なリスクを十分に考慮することが重要です。
見失う可能性がある
尾行は簡単そうに思えてかなり難しく、集中力や体力を要します。慣れているプロならまだしも、個人が尾行を行うと見失ったり、人混みに紛れて見分けがつかなくなったりと、ミスも起こりやすいでしょう。尾行は、単に対象者を追うだけでなく、周囲の状況にも注意を払い、迅速に状況判断をする必要があります。これらのスキルと経験は、専門の訓練を受けたプロの探偵にしかないため、素人が同じ成果を出すのは難しいのが現実です。
対象者を見失わないためには、尾行を行う人数も関係しています。プロの探偵は複数人で連携しながら長時間の尾行を行います。しかし個人での尾行は単独で行う場合が多く、それゆえに難しいという側面もあります。
証拠写真を撮影するのが難しい
浮気による慰謝料請求には写真などによる証拠の提示が必要です。例えば対象者がラブホテルを出入りする写真などが有効な証拠となり得ます。しかし「撮影場所が明確に分かること」「配偶者と浮気相手の顔がはっきりと写っていること」などの条件を満たす必要があるため、この写真の撮影には技術が必要です。
対象者に気付かれることなく、上記の条件を満たした一瞬を確実に捉えるためには、高度な撮影技術を要します。素人がスマートフォンのカメラを使用しても、残念ながら成功する可能性は低いです。多くの探偵事務所では、決定的な一瞬を逃さないよう、専用機材を準備しています。
仕事を休まなければならない場合がある
対象者と浮気相手のデートの日程が、自分の休日と重なるとは限りません。むしろ浮気をしている側からすると、パートナーが忙しいタイミングの方が好都合。皮肉なことに、尾行などの浮気調査を行えないタイミングほど、その証拠を掴むのに絶好なタイミングなのです。
対象者を尾行するために自身の仕事を休む必要が生じる可能性があります。しかし、仕事を頻繁に休むことは多くの職場では難しく、特に月に何度も有給休暇を取得することは現実的ではないかもしれません。
職質される可能性がある
尾行や張り込みを行う際、近隣住民に通報されて警察から職務質問を受ける可能性があります。この場面での事情説明がうまくいけば問題はありませんが、行動や所持品が怪しいと判断されると、警察署や駐在所に連れていかれたり、追加の警察員が呼ばれたりすることも考えられます。
職務質問で適切に対応できない場合、尾行が発覚してしまうリスクがあります。最悪の場合、不倫中の配偶者に身元引受を頼む状況になることも否定できません。
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尾行の伴う浮気調査は探偵に依頼すべき
「尾行を自分で行いたい」という方の多くは、浮気調査をなるべく安く済ませたいとお考えなのではないでしょうか。確かに探偵事務所に依頼するとなると、少なからず費用がかかります。

しかし、自分で尾行を行うことには前述したようなさまざまなリスクが伴います。基本的にはあまりおすすめできません。
離婚や慰謝料請求を行うにしても、関係性の修復をはかるにしても、浮気の決定的な証拠を掴むことで有利になります。確実性を高めたいのであれば、調査力の高い探偵事務所に相談するのがおすすめです。
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